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投稿記事
斜めに配した中庭が、内と外、そして家族を繋ぐ
住宅地に建つ、シンプルモダンな平屋のコートハウス。 建物を正面から見ると至ってシンプルな白い箱のようだが、上空から住まいを見下ろすと、普通のコートハウスとは違うのがわかる。 「一体感のある平屋で、手入れの必要のない庭を」というのが建て主の希望。 さらに、これまでマンションや2階建ての戸建に住んできた建て主の暮らしを聞いていくうちに、仕切りのないオープンな空間を求めていることが分かった。 そこで、中庭によって内部空間が分断されないよう、庭を建物の中心部分に斜めに配置。 長方形の建物に対し、22度ひねって中庭を配した。 そうすることで、内部空間には部屋と部屋を繋ぐ「廊下」という場所がなくなった。 全ての空間は居室となり、住まい全体が家族のための居場所になる。 玄関を入ると、LDK、子供室、書斎、寝室へと、中庭のコーナーを曲がるごとにプライベート感が強くなる。 全ての居室は中庭と繋がり、中庭の窓をフルオープンすると内と外とが一体化。 ウッドデッキの中庭は部屋と部屋を繋ぐ通路にも、第二のリビングにもなる多目的な場所となっている。 家族を繋ぎ、外と繋がる、オープンな住まいが完成した。
山本卓郎建築設計事務所 東京都 建築家
日常を忘れさせる、彫刻のようなミニマルハウス
昔ながらの瓦屋根の家が立ち並ぶ住宅地に建つ、地上2階建ての家。 真っ白な外壁によって閉ざされた内部空間もまた白一色。 外の喧騒を忘れさせるような、異世界が広がる。 建て主の希望は「ミニマル」「白い空間」「周囲と隔絶」をキーワードとした住まい。 周囲との隔たりを生んで内部空間を充実させるため、敷地面積およそ500㎡に対して建築面積をあえて130㎡に抑え、外壁は敷地の外側でなく内寄りに建てた。 壁を立てて建物を構成するというより、白い大きな塊を彫るようなイメージを目指した。 1階にはLDKと和室、2階には個室とバスルームを配置。 1階、2階ともに、水盤になるテラス設けた。 水盤が建物や空を鏡のように映し出し、幻想的な光景が広がる。 高い壁で守られた内部と水盤のテラスから目に入るのは、白い壁と青い空だけ。 非日常を演出する、真っ白な洞窟のような住まいが完成した。
山本卓郎建築設計事務所 東京都 建築家
天体観測ドームのある家で、星を見ながら暮らす
東京での仕事をリタイアし、軽井沢に移住を決めた建て主。 自然の中で、趣味の天体観測を友人たちと楽しみながら暮らせる”終の棲家”を求めた。 余暇に趣味を楽しむための別荘ではなく、あくまで生活をする住まいを創るに当たって、天体観測ドームをいかに住居に組み入れるか、その距離感や方法が課題となった。 そこで、天体観測ドームと分離しながらも、それと共存した生活空間を提案。 天体観測を楽しみながら食事や会話を楽しめるよう、室内のLDKから大きく張り出した庇の下にアウトドア・リビングを設けた。 アウトドア・リビングは住居とドームの2つの棟を繋ぎ、これらの空間に一体感を持たせる役割を担っている。 望遠鏡で見た星をパソコン画面でも見られる機能を取り入れ、家の中でも観測を楽しむことができるように。 ドームと住居は離れているものの、趣味と生活は切り離さないよう考慮した。 軽井沢は湿度が高いため、室内の通気性や湿度の調整にも配慮が必要となる。 窓の配置を工夫するだけではなく、構造には独自に開発した木組みを採用した。 また、空間の縦横比すべてを、黄金比である5対8で構成。 美しく整った、端正な空間をつくった。 趣味を楽しむのみでなく、快適な暮らしを追及した家。 心地良い住まいで、星空を満喫しながら生活を愉しんでいる。
株式会社 矢板建築設計研究所 東京都 建築家
閉じた家の中に広がる、光に満ちた別世界
低層階の家がゆったりと立ち並ぶ住宅地に建つ、地下1階地上2階建ての家。 外部から見えないようにしつつ、内部は開放的な家にしたいという建て主の希望をもとにデザインした。 隣家との距離が近いこの土地で、プライバシーを確保しながらも開放感のある内部空間をつくるには、工夫が必要。 そこで、地下から空までを貫く中庭を配置。 その中庭を「PATIO(パティオ)」とし、住まいに一体感と開放感を与える重要な役割を持たせた。 生活の中心となるLDKは明るい最上階に配し、外部からの視線を遮るために、パティオと一緒に周囲を外壁で囲った。 こうすることで、外部から覗かれる心配なく、庭から外の自然を大いに取り込む開放的な住まいを実現した。 寝室や書斎、水回りといったプライベートな機能を集約した地下にも、中庭と連続するように地下庭を配置。 空まで抜けた庭から光が入り、地下にいるとは思えない心地良い空間となった。 2階LDKと地下、ふたつのプライベートなフロアに挟まれた1階には、お茶会も開けるようにデザインした和室が。 1階和室は、外からの視線を遮断した2階と地下とは異なる、外部との繋がりが強い空間とした。 和室においてのパティオは、茶室に例えると「*露地」となる場所。 露地とも言える1階の庭は上階の中庭、地下庭と階段でつながっており、パティオには流動性と一体感をもたせた。 外には閉じつつも、パティオに向かって開く。 堅固な建物の中に、光に満ちた別世界が広がっている。 *露地 茶庭ともいう。茶室に付随する前庭のこと。
株式会社 矢板建築設計研究所 東京都 建築家
テラスから自然を取り入れた、清々しい住まい
都心にある、敷地面積約25坪の家。 住宅密集地にあるため、外からの視線を遮りプライバシーを確保しつつも、いかに外部環境を取り込むかをポイントに設計した。 そこで、敷地を最大限に使って3階建ての縦長な造りに。 北東部分には縦の”抜け”を作り、2階、3階に設けたテラスを介して室内に光や風を取り込めるようにした。 2階のテラスはLDKとフラットに続いており、引き戸をフルオープンすればテラスまでもがリビングの一部のように。 さらに3階のテラスの床はグレーチング(鉄鋼を格子状に組んだ溝蓋)となっていて、階下にあるLDKに光と風を届けている。 都心の住宅密集地とは思えない、心地良い開放感を味わうことができる住まいとなった。
樹木茂るガーデン・テラスと繋がるリゾート空間
「庭での暮らしを楽しみたい」という建て主のこだわりのもと、ガーデンプランナーとコラボレーションして作った、リゾート感溢れる家。 庭には、それぞれ趣の違う3つのテラスを作り、ウォーターベース(池)を介してそれぞれが行き来可能。 トリネコやミモザ、オリーブなどの常緑樹が生い茂り、気持ちの良い木陰を随所に作っている。 テラコッタのテラスはリビングに、アジアンテイストのテラスは和室と繋がっており、内と外との一体感がある。 家のどこにいてもリゾート気分を感じられる住まいとなった。
有限会社大浦比呂志創作デザイン研究所 神奈川県 建築家
開放感と一体感が共存する邸宅。中庭での休日。
プライベートが確保された中庭では、ワインとバーベキューのホームパーティが定番。 まるでリゾートホテルのように贅沢な空間使いの反面、 二階には子供のためのバレエレッスンコーナーやランドリースペースなど家族にとっての使い勝手も抜群。 白い壁をグリーンやブルーが彩り、タイルや木材が温かさを添える、 毎日がリゾートステイになる邸宅です。
有限会社大浦比呂志創作デザイン研究所 神奈川県 建築家
中庭と生活が溶け込む平屋の家
まるで迷路のようにも見える中庭ですが、これはコンパクトな居場所が複雑に絡み合った住空間によるものです。たとえば図書館の様なベンチを設えた玄関があったり、ガラス張りの2畳の間があったり、天井高さや広さに差をつけたリビングとダイニングなどが、隣接しあい、家全体が出来上がっています。 家の隙間に生まれた余白が庭となり、ここを経由した自然光が終日、家の中に心地よく届きます。明るすぎず、陰影のある家をつくりました。
丘がつなぐリビングと縁側
小田原の郊外、平坦な街並みが続く敷地に建つ住宅です。立体的な段差のある住宅を希望するクライアントのために、基礎工事で発生する残土を利用して丘をつくり、丘に面した縁側とリビング、そして丘に沿って緩やかな段差のある室内をつくりました。 商品化された敷地のほとんどは整形で平坦地です。それは量産住宅が建つための条件でしょうが、本来自然環境がもっていた立体的な風景や、そこから得られる様々な生活の楽しさは失われてしまいました。
ガーデンの光が奥行きを生み出すリノベーション
RC造の築50年以上のマンションをリノベーションした一室。 施主夫婦の父親がマンションのオーナーであり、賃貸活用も見据えたもの。 ローコストながら、敢えてそれぞれ1kだった2つの部屋を取り壊し1世帯とし、設備や間仕切りなどの全てを撤去しての計画だった。 建物が角地に面しており、雑然としながらも大小の開口部を持ったものであった。そこで道路に面した外周部はそれに沿って、明るい外部的空間「ガーデン」とし、リビングを取り囲む構成とした。 この庭のような「ガーデン」は寝室、浴室、ワークスペース、洗濯干場と動線で繋がり、外壁に面した開口部を白塗装とし、カーテンで光を取り入れた。 既存の雑然とした外部環境を解消し、リビング側にも設けられたカーテンによってやわらかな光と奥行き感を内部に取り込むことができた。 総床面積約55平方メートルと決して広くはない一室の中に、リビングを取り囲むガーデンの多様性が光と共に奥行きを十分に生み出した一室となっている。
武藤圭太郎建築設計事務所 岐阜県 建築家