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築80年の長屋を再生し、機能的な町屋に

戦災を免れ、古くからの町屋が多く残る街。

この地域で生まれ育った建て主は下町の姿を残したいと考え、築80年の二軒長屋の一軒を購入。
伝統的な町屋の原型を再現した住まいを希望した。

築80年と古い建物だが、骨組がしっかりしているのでリノベーションが可能だと判断した。
これからも永く安全安心に暮らせるよう、壁や基礎、構造材を補強。
床や壁、天井に断熱材を入れ、天井を外して防水もやり直した。

プレハブのようなキッチンがあった北側の部分は減築し、光庭に。
板張りだった廊下は玄関から続く土間に戻し、玄関から正面の光庭まで一直線に通り土間が続く、昔ながらの町屋の風情を再現した。
モルタルの通り土間は床暖房になっており、冬でも家全体が温かい。

新たに設けた天窓や南の前庭、北の光庭からほの暗い室内に光が差し込み、広がりのある心地良い空間となった。
80年前の柱や梁にはかつての手仕事のあとが残っており、経年による独特の味わいがある。
古い物を活かし、伝統的な形を再現しつつも現代の技術によって快適さも得た、機能的な町屋が完成した。

外観

外観

町屋の風情を残しつつも、外壁や屋根をガルバリウム鋼板に替えて装いを新たに。

南側外観

南側外観

縦格子と前庭が、町屋の雰囲気を感じさせる。

住宅ポーチ

住宅ポーチ

南の玄関から北の光庭まで通り土間が貫き、視線が抜ける。

ダイニングから南側玄関のほうを見る

ダイニングから南側玄関のほうを見る

南側玄関から通り土間に沿ってご主人のアトリエ、和室、ダイニング、キッチンが並び、北側には光庭が。

壁面に造作した本棚は南から北まで連続している。

ダイニングから光庭を見る

ダイニングから光庭を見る

通り土間の突き当り、1階の北側に設けたダイニングと、ダイニングから続く光庭。

緑鮮やかな光庭が、ダイニングに光と風をもたらす。

あえてリビングはつくらず、ダイニング・キッチンを生活の中心に。

ご主人がキッチンに立つことも多くなったのだそう。

和室から玄関のほうを見る

和室から玄関のほうを見る

ほの暗く静謐な室内には南北の庭からも天窓からも光が入り、清々しい。

吹き抜け

吹き抜け

ダイニングの上は吹き抜けになっており、天窓からの光が差し込む。

1階の土間は床暖房になっており、温かい空気が吹き抜けまでまわる。

2階廊下

2階廊下

光に満ちた2階。

2階には2つの個室があるが、引き戸を開け放てば一体空間となる。

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ユーザー

向井一規建築設計工房
愛知県 建築家

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