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穏やかな静寂の中で暮らす家

自然豊かで長閑な環境の敷地内に建つ木造平屋建ての住宅からは、北陸地方の田園と山並みを楽しめる。
夫婦と母のためのこの住宅は、交差点に位置しているため、停車する車との視線や騒音を気にしないようにと、内部の床レベルを道路より1m高く設置して建てられた。
これにより、道路からの視線を回避するだけではなく、外部からの連なりをなくして風通しをよくし、低い土地ゆえの水害にも備える役割を果している。

同じ敷地内にある車庫と倉庫、生垣と母が大切にしている畑はそのまま残し、それらと上手く景観のバランスがとれるよう、もともとあった古い建物の場所に、東西に細長い3寸勾配の切妻屋根のヴォリュームを新たに配置した。
また、屋根は隣接する建物の軒高さに合わせるように、低く抑える工夫をしている。
切妻屋根の北側半分を下方にずらし、スリット部分にハイサイドライトを設けることで、外観の見た目だけではなく、室内に柔らかな光を取入れることへも配慮した。

昔からそこにある風景に静かに溶け込んでいくような、その趣ある住宅は、建主の想いを見事にカタチにし、自然を楽しみながら、安らぎと静けさの中で暮らせる家となった。

外観

外観

外壁はスギ板の縦張りで、重厚感がありながらも、モダンな雰囲気をつくりだしている。
900mm間隔で等幅に並ぶ架溝に合わせた開口部が印象的な外観。

外観(開口部の雨戸を閉めた状態)

外観(開口部の雨戸を閉めた状態)

開口部は、雨戸、網戸、ガラス戸が壁面にのみ込まれてブラインドが設置されている。
天候や用途に合わせて、開口部の開け閉めを行えるので、風通しもよく便利。

玄関

玄関

ハイサイドライトから差し込む光で明るく、広々とした玄関。

玄関からつながる廊下

玄関からつながる廊下

900mm間隔で柱・梁が玄関からリビングへと反服した造りになっている。

南北で断面サイズと組み方の異なる梁にし、リビングと個室の天井の高さを変えたことにより、換気もできるハイサイドライトを設置できた。

リビング

リビング

天井は3,050~4,150mmと高く開放感がある。

北側のハイサイドライトからは、柔らかな光が室内全体に広がり、穏やかな空間が広がっていく。

個室とリビングの仕切りを開いた状態

個室とリビングの仕切りを開いた状態

建物の北側に位置している3つの個室は、襖と欄間でリビングと仕切られている。

仕切り部分を開くと、リビングとつながる広々とした空間を作り出す。

個室とリビングの仕切りを閉じた状態

個室とリビングの仕切りを閉じた状態

リビングと個室の境界となる、襖と欄間を閉じれば、白を基調とした明るく落ち着いた個室として使用できる。

室内から見える開口部の風景

室内から見える開口部の風景

南側の開口部を開くと、お母さんが手を掛けている畑を眺めることができる。

開口部から見える外の風景は、まるで額縁に入った絵のよう。

家の中から春夏秋冬の景色を毎日楽しめる。

南側の開口部

南側の開口部

北側にある中庭と既存の建物が見える南側の開口部。

開口部は床面から高さ1,875mm、幅810mm。

北側の開口部も開いた状態にすれば、風が一気に室内をかけぬけていく。

キッチン

キッチン

使い勝手を考慮して、シンプルなシンクと調理台を設置し、すっきり広々とつくられたキッチン。

背面は収納となっており、動きやすい導線が、毎日の家事を楽しくする。

バスルーム

バスルーム

バスルームは清潔感あふれる白のタイルをベースにした空間に。

光と風を多くとりこめる窓は、湿気対策にもなり、より快適なバスタイムを演出する。

更新日時 2016年08月24日

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ユーザー

水上哲也建築設計事務所
千葉県 建築家

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